弊社 片浦から紹介されたコロナ禍後の顧客との接点の変化
COVID-19の影響で渡航規制や経済環境の変化により、BtoBの製造業においてもコロナ前の展示会出展や出張ベースにおけるFace to Faceの施策が実行できなくなってきており、「デジタルマーケティング施策」を実施、または注力を考えられている海外事業担当者様・マーケティング担当者様は多いのではないでしょうか。
そこで、グローバルで保有されているメディアブランドや広告プラットフォームの運営をされているベライゾンメディア・ジャパン 鶴岡氏とGDPRのコンサルティング事業をされているクロス・ヘッド 鷲尾氏 から、欧州のデジタルマーケティングの現状やトレンド、さらにはプロモーションを行う際に大切な個人情報取得におけるGDPR上での注意点を講演いただきました。本記事では、ウェビナーでお話しされた内容のポイントをピックアップしてご紹介します。
【欧州におけるデジタルマーケティングの現状の紹介】
【登壇者紹介】
ベライゾンメディア・ジャパン株式会社 アウトバウンドセールス部 部長
鶴岡 直太 氏
米ベライゾンのメディア部門「Verizon Media」の日本法人、2020年1月より現職。 2011年の入社より一貫して、広告主、代理店に対するアドテクノロジーを活用した広告配信ソリューションを営業。上記経験から得た幅広い知見を生かし、今年新設のアウトバウンドセールス部の部長に就任。 日本の広告主、代理店に対し、ベライゾンメディアグローバルへの広告展開を提案。
欧州のデジタルマーケティングの動向
コロナ禍以前の欧州のデジタル広告の動向はどんな傾向だったのか。鶴岡さんは欧州の中でもイギリス、ドイツ、フランス、イタリアの2018年から2022年までのデジタル広告の動向を紹介した。4カ国とも増加傾向にあり、2020年の予測はコロナ禍により広告費を削る企業が多い中、増加の予測とされている。
次に、イギリスを例にしてデジタル広告の内訳をMobile/Desktop/Search/Video/Socialの5つに分けて紹介した。Mobile/DesktopはDSP(Demand Side Platform)を用いた「バナー広告」、SearchはGoogle検索の「リスティング広告」、Videoは「YouTube」やDSP、Socialは「Linkdin」「Facebook」「Instagram」などが主な取り扱いになる。
鶴岡氏:
「どの形式で配信するか、広告目的によって変化するため、どこの企業の広告が多く使われているか、その潮流を知った上で広告配信はスタートすべきです。特にオフラインでの販促やセールスが実施できないため、今後はオンラインのみで顧客との接点が完結する可能性も考えられます。」
デジタル広告施策 それぞれの特長とDSP
普段、鶴岡さんがクライアントへの提案に際して出てくる企業を例に、デジタル広告のそれぞれの特徴を説明した。
鶴岡氏:
「Google広告はリーチ数が多く、低単価で実施できるのが特徴です。しかし、ターゲットが限定的になるBtoBにおいては絞る条件としては不十分な場合も一部あります。一方で、FacebookやLinkdinは個人データに紐づいているので、広くリーチすることはできませんが、配信対象を絞りやすいです。我々が提供するDSPはGoogle広告や Social広告の中間に位置し、ターゲット企業、担当者へ配信するには、十分な質と量を兼ね備えたサービスと言えます。」
鶴岡氏:
「改めて、DSP(Demand Side Platform)の説明をいたします。DSPとは、簡単に言えば企業が持つデータを組み合わせて配信対象を設定するサービスです。例えば、サイトの閲覧データ、購買履歴などを用いて、キャンペーンにあったセグメント設定します。そして、セグメントに対して提携しているメディアのサイトに配信をすることでターゲットへのリーチが可能になっています。」
では、BtoBにおけるDSPの活用はどのような形式になるのか、Verizon Media DSPでは検索履歴や位置情報などを用いて「製造関連従事者」「エネルギー業界関連従事者」などの切り分けが可能になっている。そこでターゲティングされたユーザーに対して、「HUFFPOST」「WIRED」といった、ユーザーが使用するであろうメディアへ広告を掲載する形になる。
画像のように、オンライン展示会への流入経路の1つとしても活用が期待される
なお、本サービスの金額は以下のように3つに分かれている。「配信」のみや、「バナー制作」「分析」を追加したプランもあるため、目的別に使い分けることが可能になっている。ヨーロッパの狙った業界へとアプローチをする際に、ぜひ検討していただきたい企画だ。(こちらの金額での提供は1〜3月までの限定紹介)
企画資料(PDF)のダウンロードはこちら
【BtoBのプロモーションで注意すべきGDPRのポイントとは】
【登壇者紹介】
クロス・ヘッド株式会社 セキュリティ基盤サービス部 GDPRコンサルタント
鷲尾 誠 氏
GDPR施行直後に、GDPRコンサルティング事業を立ち上げる。 以降、中堅・中小企業を中心に多数実績。医療機器メーカーやゲームディベロッパーなど幅広い業種のGDPR対応をサポート。 同時にITセキュリティコンサルタントとしても活動中で 、標的型攻撃メール訓練などによる、お客様の情報セキュリティリテラシー向上を支援。
GDPR(General Data Protection Regulation)とは?
GDPRという単語を聞いて、具体的にそれが何を意味するか説明できる人は少ない。鷲尾さんは最初にGDPRとは何かを改めて説明した。
鷲尾氏:
「GDPRは情報漏洩を罰するための法律ではなく、『個人が自分自身のデータをコントロールするための権利』を確立するために制定されたものです。つまり、倫理や基本的人権の問題です。わかりやすい紹介をすれば『欧州経済領域(EEA)に適用される統一的な個人情報保護法』ですが、”権利”に根差していることを忘れてはいけません。」
鷲尾さんは企業のデータの取り扱いを定めた法律という認識が多く、あくまでデータの提供者である個人が主体であると指摘した。では、GDPRによって、企業は何が求められるのだろうか。
鷲尾氏:
「GDPRには法の遵守のみならず、説明責任が求められる。具体的には、『企業がデータを処理するための目的』『個人情報の保護をどのように実現しているのか』などを 説明できるようにならなくてはいけません。もちろん、BtoB事業においても、販売代理店とのやり取りでもエンドユーザーの情報が含まれるので、対応は必要です。」
続けて、Webinar視聴者から上がったGDPR上の質問に答えた。
Q:展示会で取得した名刺情報もGDPRでの適法性を示すことが必要か?
A:「適法性を示すことは必要」と回答しました。理由として、交換後に名刺データを利用した反則行為に結びつくことが多く、そうした行為の際に結果的に、適法性を示す必要があると指摘しました。
Q:その他、EU展示会で気をつけるべき項目はありますか?
A:展示会主催者が GDPRに対して、どのようなスタンス・通知をしているか確認を行うこと。特に、写真や映像など個人を特定できるものに対しては取り扱いに注意。場合によっては、主催者が許可を出していないこともある。パネルを用意して、自社のプライバシポリシーを示すことが得策である。
GDPRへこれから対応する際のポイント
では、これからGDPRに注力する企業は、どこに注力すれば良いのでしょうか。鷲尾さんは2つのポイントをあげた。
ポイント1:個人データ処理の原則を満たしているか?順守できていることを説明できるか?
「個人データ処理の原則とは、データを取得するための目的を定め、目的に対して必要な範囲のデータを集め、適切に保管することを指します。取得、保管、使用までの一連の流れを説明できるよう、データ収集の目的や保管方法をドキュメントに落とし込むことが求められます。順守できていることを示すためにも、ぜひ進めておくべきポイントです。」
ポイント2:個人データ処理は法的根拠に基づいているか?
企業がデータを処理するためには、法的根拠に基づかなくてはなりません。『契約の履行のため』『法的義務を遵守するため』などです。データを広告に活用する場合は、『正当な利益の目的のため』などが当てはまるでしょう。ただし、企業の利益よりも個人の権利が優先されるため、個人が拒否した場合、取得は認められません。このように自社のデータ活用の目的がどの法的根拠に基づくか、確認することをオススメします。
こうしたGDPRを破った場合、どのようなことが起きるのかいくつかの事例を紹介した。
・Google LLC / Google IRELAND
鷲尾氏:
「ユーザーの同意なくcookieを使用、プライバシーポリシーが分かりづらいところに記載などの理由で罰せられました。金額的にも衝撃の大きかった事例です。」
・フィンランド A社
鷲尾氏:
「このフィンランドの事例は、データ保護局に寄せられた”11件”の苦情がきっかけでこのような結果になりました。GDPRはGoogleなどの巨大企業への規制であり、中小企業は対象外という印象があるかもしれませんが、必要な処理をしていない場合、容赦無く罰せられます。」
最後に、鷲尾さんはGDPRへの対応は、企業活動において非常に手間であることを認めつつ、GDPRへ対応することの重要性を訴えた。
鷲尾氏:
「今、世界中でGDPRをモデルにした法律が施行されています。GDPRへの対応は手間かもしれませんが、今ここで対応することで多くの国で施行される個人情報保護の法律にも対応できます。ここで対応するか、しないかで大きな差が生まれると思います。」
本ウェビナーでご紹介した資料は、下記フォームに入力していただいた方に無料でお渡ししております。